行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

人生至る所に青山あり

 貝塚市役所から電話が来た。私が、対応を一任されている土地建物の件である。市域では高級住宅街の一角にある、その物件が建っている土地が高台になっている。曰く付きの物件で有り、もう30年以上も放置してある。現地に2時間以上も掛けで調査に行って、門扉が錆びついて、駐車場には壊れたバイクなど粗大ゴミが投げ捨てられて居た。

 雑草であるはずの草が、日当たり良好で中には低木化しているのも見られた。現地で状態を撮影していると隣人が出て来て、私が素性を明かしここに来た要件を伝えると堰を切ったように、次々と言葉が出て来た。

 この地域一体は、一つのコミュニティを形成して居て、この地域の入り口には大きな地図とそれぞれの居住者の氏名が示されて居て、この空き家の図にも氏名が為されていた。

・この空き家がある事で、外観にも大きなマイナスがあって、評価額にも影響が大きい

・ここの環境が悪くて、暴走族などの溜まり場になっている

・不法投棄などに行為が見られる

・小動物の棲家になって、衛生的な問題が生じている

・近年、自然災害が頻発しており家屋の倒壊、盛土の崩れ、樹木が倒れるなどに懸念

 などなど、言われて恐縮しながら聞いていた。

 私が担当した経緯は、現在の事務所がある隣市の地域包括支援センターから、相続手続きのご依頼があったときから始まる。ご自宅のマンションを訪問して、相談者から相続に関する情報を得て早速手続きに取り掛かった。

 依頼者は、卒寿を超えてお子さんを亡くした直後で、話をしては泣く。色々と息子さんの情報を得てはそのものに関わる話しを聞いては泣く。中々、進まずに毎週通った。多額の預貯金や不動産を所持していて、息子さん名義の不動産の一つがその貝塚市の物件の10分の2だった。

 相続人の卒寿の母親が10分の5で、親族にも無い氏名の人Aが10分の3を登記上所持していた。

 それ以外の相続手続きは、順調に終えて終わりかなと思った時に、その不動産と投資信託の話しをして来た。投資信託は、大手銀行に勧誘されて預金5000万円という多額の投資を行った。処が、唯一のお子さんが不治の病に侵されて、最新の治療を受けさせたいので、と投資信託の解約を依頼したがガンとして大手銀行は応じなかった、と泣きながら訴えていた。

 その投資信託の証書を見ると、窓口は大手銀行だったが、投資信託運用会社は聞いたことのないアメリカ合衆国の会社でした。

 早速、委任状を作成してご本人が解約を望んでいる事を伝えると、定型様式を郵送して来た。その作成をサポートして気が抜けるくらい簡単に解約出来て、依頼者の口座に振り込まれて来た。

 問題は、貝塚市の物件の処置だ。貝塚市役所からも、善処を求める文書が来て時間を作って貝塚市役所空き家対策室を訪問した。市役所として、対象となる10分の3を所持している人物の所在の調査をしてくれる事になった。

 一番難航したのは、その他人の男性と何故共同所有することになったのか、経緯が分からない。言わないのだ。長期間掛けて、古い資料を探して分析解読をする。何と、その共同購入した家でその男性は亡くなっていた。警察の調書が出て来た。他人と同居していた。

 そうして、10年前の事が明らかになった。私が依頼したが司法書士が、その相続人を調査して家系図を示した。亡くなった男性には、家庭があってお子さんが二人いた。男性の持分がそのお子様二人に相続されるべきだったが、お一人は相続拒否して既に亡くなっていた。

 もう一人の女の子であるお子さんは、結婚離婚再婚をして、現在は広島県に居住していた。その上、その相続人とコンタクトを取った司法書士からの報告で、やはり、と思った。

 その卒寿の依頼者が、相手の家庭を壊した。その恨みがあって、絶対に何の交渉も応じないし、相続手続きも放置したままにすると訴えて来た。その10年前に、卒寿の一人息子が法律家と、その女性宅を訪問して購入の申し入れを行ったが拒否されていたと言う事実も分かった。つまり、相続手続きが放置されていて、亡くなった男性の名義のままになっているのが現状だ。

 情報が結構あって、構図が分かって来た。その卒寿の依頼者は、北陸地方の小都市で生まれ結婚した。ところが、嫁ぎ先と姑と馴染めずお子さんを連れて大阪に逃避してきた。女手一つでお子さんを育てるのは並大抵の事ではない。病院で看護助手として休まず働き続けて、財産を築いた。その過程で色々とあったのだろう。

 経緯が分かった段階で、自分なりに動いた。建物だけでも解体しようと思って見積もりを取ったが、業者から登記上の所持者から同意を貰わないと無理。私が解体した後の所有権が10分の3ある方から訴えられた時に責任を持つとの念書があれば対応するとの話しもあった。

 そう言われると、一時は構わないかと思ったが、結果的に回避した。その後、その甥や甥の息子などが住宅メーカーなどを動員したが無責任な話しばかりで、何の前進もなくここまで来た。私は、最初から来年4月施行の相続手続き放置者への違法適用で罰則に該当させて攻め込む他ないと考えている。無駄な動きはしないと決めている。

 貝塚市役所は、その空き家の住宅地の自治会長からの問い合わせに、現状報告したいとの事で、幾つかの動きを伝えた。

 私が遺言執行人で有り死後事務受任者で有り、任意後見受任者である。勉強になります。

 夕方6時半から、後見センターの忘年会が予定されていたので、それに向かう前に退院支援を行うリハビリテーション病院からの施設への入所者への必要な資料を受け取る為に、当該施設へ受け取りに行った。30分以上掛かる施設にやっと到着したのに、職員は何の事か分からない、との返事。同じ市域に3箇所あると言って電話を掛けてくれたが、該当なし。

 系列で、と電話した施設が該当施設だった。戻る羽目になって、何と当社事務所の近くで10分程度の位置にあった。