行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

選んだ伴侶は終末に大きく影響する

 核家族化が進展して、これまでのスムーズに行っていた日本伝統的な諸々の家族行事などが成り立たなくなった。そんな無縁の傾向が、地域の福祉支援担当者を忙しくさせて専門家を作り出している。私も、その端っこに座る事が出来て、仕事として提案するプランも種類が多くなって来た。相談者の事情に合わせるので、当然な事だ。

 その一つとして、和歌山県境に近い泉佐野市から、死後の心配をしているご夫婦への適切なプランがあったら、支援して欲しいと地域包括支援センターから相談があって、先月、訪問して心配事を伺った。その心配事を解消させる提案した。その受け入れがあって、具体的な書類や申込書作成などで、訪問した。

 到着が45分くらい速く、駐車場で休んで地域包括支援センター担当者が来るまで待機していた。そうすると、駐車場前の部屋カーテンが開いて奥さんと目が合った。軽く挨拶をすると,しばらくして旦那さんが外に出て来た。家に上がるように何度も声を掛けられたが、地域包括支援センター担当者が来るまで待つ事を告げた。

 直に、地域包括支援センター職員が到着する。挨拶を交わして、相談者宅にお邪魔する。夫婦二人で50年以上も支え合って来た。国家公務員の旦那さんは全国に転勤して、奥さんは着いていく。旦那さんの定年と同時に、大阪に定着する。

 そこは、珍しくもない人生を送っていた。しかし、人は歳をとる。歳をとっていずれは、死を迎える事を誰もが知っている。その死を迎える時に、誰に世話になるか、それを考える。家族や次世代の子供が居れば悩んだり考えたりする必要がない。

 それが存在しないとなると、他人や業者に依頼する他、選択肢はない。人間は野生動物や自然の植物ではない。納骨や死後の手続きが必要になる。夫婦だったら、一方がする事ができて、残った一方がだれにしてもらうか、真面目に人生の終幕を考えると、解決策が見つかる迄、夫婦と限りない話し合いが続く。

 その上、金銭的な余裕がない時に悩みは尽きない。今は、高齢者向けのあらゆる相談する「地域包括支援センター」という機関があるから、ある程度は安心だ。その機関を、そのご夫婦は頼った。

 それを、地域包括支援センター職員は、広い情報を持って多くの人脈を持っている地域の事業者に相談する。その相談を、私に持って来た。車で片道3時間の距離である。

 大阪のおばちゃん、そのものの奥さんと物静かでニコニコしている旦那さんという夫唱婦随に見えた。やり手の様な印象は、何があったのか、ハズレだ。ご自身の言葉を借りれば、旦那さんの高給をことごとく使った。転勤するたびに、新たに出来る知人友人に使ったという。

 でも、折角できた友人知人とも転勤で、疎遠になるとの繰り返しで、結果的に親しい友人知人は出来ず仕舞いに。

 そんな無縁が加わって、結局、得たものは市の共同墓地に納骨できる権利。その手続きを誰がするのか決まらない。

 そんな中での相談があって、口頭で提案したプランの中で選択された、葬儀保険への加入の手続きを行った。毎月の数千円の保険料を支払って、亡くなった時にまとまった保険金が下りて、それを各種手続きの代行料、死後事務手当に充当する。納骨や遺品整理や葬儀などの負担である。

 その保険加入への審査をするための告知や情報を頂く面談を、ご夫婦お二人を行った。その過程で、奥さんの言葉に人生の終末に来て大きな問題を引き起こす散財がこの問題に直結したが、悪びれもなく笑いに変えようとしていた。笑えないばかりか、その奥さんが旦那さんをコケにしたり馬鹿にしたり、怒鳴ったり。

 それを耳にしながら、時にはたしなめて、進まない面談しながらの書面作成を進める私。やっと奥さんの分が終わって、次は旦那さんだったがスムーズに終わる。

 奥さんのおかげで、普通の家庭にあるものが無かったので、本当に困ることもあって、旦那さんの苦労が偲ばれる。この申告書等を保険会社本部に送って審査が行われる。

 1時間半を要して最低限の今日の仕事は終わった。この審査が通過すると、具体的な業務を契約書にしたためる死後事務委任契約を交わす事になる。奥さんが希望する任意後見や遺言書作成は、特に必要と言うわけではないので、スルーして来た。

 終わってから、一休みして帰路についた。途中から暗くなって、小雨も降って来た。疲労も限りに近くなったが、三輪さんが頑張って休みもせずに戻って来れた。

 相談者への訪問時間調整で、相談者宅近くの大きな公園によって道の駅で新鮮な野菜をたくさん購入して来た。残り少ない今年のうちに、沢山の野菜を、沢山食べよう。

 今日の仕事で、地域包括支援センター職員が言っていた、ご夫婦お二人でなくお一人様だったら、沢山の制度が使えたり民生委員がサポートする制度もある、と言われて違和感を覚えた。