行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

長男からのSOSを受けて

 灯台下暗し、とはこの事だ。

 朝早く、7時台に長男が電話して来た。

 「こんなに早く、どうした。」

 「別に、特別な事がある訳じゃ無いけど。」

 何となく、元気がない。

 長男は、有能な自慢の息子でシステムエンジニアだ。超有名企業を渡り歩いて現在はヘッドハンティングで、チャイナ資本のIT企業に勤務している。

 私の脳裏には、かなり以前、iPadが出て来た時に全く別物が出て来て不安になっていたのが思い出された。これまでの実績や経験がチャラになる革命だった様だ。

 新たに仕事に就くIT関連エンジニアは過去の古いシステムなど知らずに、最初から新たなシステムに携わるので、頭が柔らかく自然と入って行ける、と思っていた。

 常に学習を重ねて、余裕も持たずに時間に関係なく働き詰めだった。最終電車で帰宅して始発に近い電車で出勤する様な勤務態勢だったと聞いた。

 私が帰省して息子と出かけても、四六時中電話で説明や指示をしていて休まる間もない生活振りだった。

 「いいか、自分に合わないと思ったり疲労感が取れなかったら、会社を辞めな。自分でできる範囲の仕事をすれば良い。仕事なんて幾らでもある。誠実に対応していれば、自然とお客様は付いて来る。事務所を借りて、必要な機器を揃えてやるから自分の会社を作ってやった方が良い。」

 そんな事を一生懸命に助言するには、訳がある。

 何と昨日、緊急で面談した方はIT関係の委託契約で仕事をしていた息子さんの突然の脳血管障害で、手術の甲斐なく、僅かに瞼をうこかせて涙を流す事だけが、唯一の表現だと言う。

 親も同じ日に不治の病に倒れて、医療費負担を考えると途方に暮れて安楽死も考えたと言う。

 また、先日に亡くなって死後事務を行っている方は、息子さんがIT関係の仕事に就いて優秀だったと聞いた。その息子さんが、二十代の若さで過労死してしまった。

 その事が頭から離れず、今が唯一の息子を救う機会だと思って、尚も説得する。

 「もうお前は十分働いた。」

 「そうかな。」

 「俺の業界なんて、ITに詳しい奴なんてほとんどいない。自分の出来る範囲で、ゆっくり仕事をすれば良い。うちだって頼む仕事は幾らでもある。」

 「知り合いの会社からも個人的に頼まれて、手伝っているけど、うちの会社は副業禁止だから無償でサポートしている。」

 「そんな仕事を受けて、気楽にやれば良い。幾らでも金は出すから、大丈夫だから。」

 「分かった。ありがとう。前向きに考えるから。」

 そう言って、少しは明るくなってホッとした。

 近いうちに、当社に来るだろう。

 長男は、優しい人間で佐藤家の宝だ。

 私が、大阪に来る事が決まった平成12年に秋葉原に行って沢山のパーツを買って来て、デスクトップのパソコンを組み立て、私が少しでも使えるように、指の動きやネットの接続や検索を始動してくれた。

 その上、家を出て大阪に向かう時に自分が使っていたノート型パソコンを、持っていく様に差し出した。このパソコンは起業時の唯一のパソコンだった。会社の宝として身近に保存してある。

 数日前に、隣の市の市役所内人権相談室にて面談し、その支援を依頼された方について人権相談室職員から電話が来た。

 確かに、心配症の兆候は強い。しかし、精神病院に強制入院しなければならない程ではない筈だ。それが、強制入院させられた。

 同行した人権相談室職員が言うには、

 「騙した、と強く非難されたが、、」

 と、言って色々と正当性を強調して居たが、

 「今の時代は、精神障害者と言えど人権を尊重されて居て、医師の提案にどう対応するかは自己決定が決めれたて、その意思決定支援を行う事が使命です。」

 と、言った。

 「親族がいないので、72時間だけ、強制入院となりました。そうなると、月曜に退院となります。ホテル住まいだったので、忽ち、住まいの確保に困ってしまいます。佐藤さんの名刺を握り締めて居ましたので、佐藤さんに信頼を寄せて居ましたので、佐藤さんがどう受け取るか。」

 などと、取り止めもない話しを繰り返していた。

 私は、相談があれば受けるのがこれまでの一貫した姿勢だ。ただ、ゴールデンウィークに入っている月曜日に宿泊施設を確保出来るか、それが問題だが今から悩んでも仕方がない。

 午後から、難題に立ち向かう。

 意識はあるが、意識が混濁して居て寝たきりの依頼者。生前及び死後事務委任契約を交わしたは良いが、言葉を発しない。動けない。その方の口座がゆうちょ銀行にある。

 生活保護費は、振り込みではなく現金で窓口支給にして貰った。問題は、ゆうちょ銀行の通帳と印鑑はあるが、キャッシュカードの暗証番号を失念している。それよりも言葉が出ない。

 暗証番号の再確認も変更も、自筆での委任状が書けないので、出来ない。何と、施設に入所して住んでいない住所が届け出たままになっているのに、心身の状態で変更手続きが



出来ない、と言う。

 馬鹿馬鹿しい事だ。正しく届ける事が出来ない、制度を変えればいいじゃないか。この様な独居で身寄りがない人が増える。携帯電話だって本人じゃないと出来ない。

 使用して居ないのに、変な制度のおかげで解約も出来ない。口座に残金がある限り、振替続ける。やれる事は、口座残高をゼロにして振替が出来ない様にして、強制解約をする事。

 その手法に従って少ない預金金額をゼロにした。

 朝からメールでのやり取りに時間を費やした。市の居住支援協議会設立に向けた市役所担当部署からの第一回開催日程調整を求められて、返信する。

 加えて、会議への参加企業として現在提携している2社の他、大阪府の参加を求める要請を行って認めて貰った。