行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

その時、親は良かれと思ったに違いない

 確かに、艱難辛苦を与えたまえ、と願ったがこれ程までに高齢者の私のスキルを向上させていいのだろうか。

 最初は、ハプニングだが通常作業で処理できる案件だったが、午後の電話で一気に困難事例となってしまった。

 早朝、昨日の報告で危篤状態だった生前及び死後事務委任依頼者が亡くなった。早朝に病院へ駆けつけた実兄から電話があった。そのご不幸報告のあと、

 「ケアマネジャーに連絡しても繋がらないので、佐藤先生に連絡させて頂きました。」

 時計を見ると7時前だった。私は、既に出勤していた。実兄はそう言って、

 「なにを、どうして良いか分からないので、佐藤先生にこれからの事を全面的にお願いします。今から、お願いしたいので病院に遺体が安置してあります。何も分からないので、引き取り火葬など直ぐにお願いします。」

 そう言われて、先ずは、葬儀仲介者に連絡した。

 しかし、出ない。大阪府下泉南地域に展開している葬儀社のディレクターへ連絡した。

 早い時間とは思ったが、葬儀社は24時間体制と聞いていたので、その通りに寝起きと分かる雰囲気で応対してくれた。

 しかし、寝ぼけているのか、亡くなった弟さんと実兄の名前を取り違えて、私に何度も強く言い直されてれて、やっとシャキッとなった。

 「お兄さんに連絡して、今後の取り扱いを聞いて欲しい。全て、お兄さんの要望で実行して下さい。」

 「ご遺体は、ご自宅へお運びしますか?私どもの会館へでしょうか。ご予算はどうしましょうか。」

 「だから、お兄さんに連絡してご確認して下さい。」

 と、言われて段々と目覚めて来た。

 11時過ぎにディレクターから電話が入って、

 「無事、市役所への死亡届の提出のが終わりました。ご遺体は、当社会館へ運び致しました。明日、ご葬儀ですが、佐藤先生はご出席されますか?」

 「いや、時間が取れないので、出席は出来ません。」

 「大丈夫です。こちらで、全て行って起きます。ご請求の宛名はどなた様にさせて頂きましょうか。」

 「宛名はご本人、請求書は、私の方に送って下さい。」

 などとお話しして、この時点では未だ、通常の手続きで、実兄の業務委託や委任状で作業が出来ると思っていたが、どんでん返しが待っていた。

 実弟の本日の手続きなどが終わって、実兄は自宅に戻って来た。本来ならこの日の午後2時に訪問して、実弟の今後の件で親族として業務委託契約を交わす事となっていた。

 電話が、実兄からあって、

 「実弟の通帳を持って行って銀行でお金が下ろせなかった。葬儀代が払えない。私どもも、そんなにお金があるわけじゃ無いので。」

 と言って、何故、実弟が亡くなったと知らない銀行で手続きができなかったのか、聞いた。

 「分からない。病気で入院しているから、と言ったのですが、出金出来ないと言われた。」

 「分かりました。私の方で、お支払いしますので葬儀社にお兄さんに請求しないように言って起きます。」

 ここまでは、普通の事で、弟さんの相続手続きの過程で支払いが出来ると思っていた。この時は私は未だ難しい案件とは思っていない。

 ここで、戸籍謄本の取り寄せをお願いしたいので、お兄さんと弟さんと姓名が異なって実の兄弟という事情説明を求めた。

 何と、

 「実の兄弟なのに、親が私を養子に出したのに、養子先の親が実子として役所に届けたので、実の子供としての戸籍しかなく、戸籍だけだったら弟との兄弟の証明するものは無いです。」

 声も出なかった。

 DNA検査しますか、と言われたが頭が真っ白になっていい案も浮かばず。

 今日にでも来てほしい、と言われたが断って週明けにして貰った。

 この後、妙案をずっと考えていた。

 午後の訪問予定が延期になったので、法務局へ行くなどの仕事にシフトする。

 その外出の際に、先日、亡くなった死後事務契約をしていた方の親族と重要な話しをした。

 亡くなった日に、親族が新潟県から駆け付けてケアマネジャーと一緒に親族が室内に入った。その際、ケアマネジャーが室内にあった現金と貴金属を持ち出した、のを後日伝えて来て私に返還したいと言って来た。

 その返還を後日受けた。しかし、貴金属は無かった。室内に有ったのは、指輪を入れるケースが空で10個位有った。

 そこで、持ち去ったケアマネジャーと一緒に室内に入った親族に、ケアマネジャーが持ち出したか問い合わせしたが、記憶してないと言う。

 「一月も経っていないのに、記憶が無いなんておかしい、ケアマネジャーは持ち出しているとメールで言って来ている。それが無いとなると、私の責任になる。」

 そういうと、今度は

 「本物かどうか分からないですが、それらしい物がケースに入っていくつかありました。」

 と、やっと言う。

 しかし、空のケースが幾つもあって中身が無くなっている。

 追求するのは、気持ちの良いものでは無い。

 先日、厚生労働副大臣に陳情した事案が受け入れられて、正式に依頼文を作成する様に議員から連絡が入った。

 実は、公的な文書を作成して提出した事がない。数日以内にとの事だった。

 新たに移転した大阪法務局に、後見登記事項証明書を取得に行った。戻り乍ら、被保佐人が入所している施設に行って必要な手続きを行う。

 朝に後見審判申立書を作成したサポートしているが、申立人が精神障害者なのだが、同じ精神疾患があるお姉さんから、申立書の進展具合を確認する電話があった。それなりの苦労がある。

 夕方、新たな「生前及び死後事務委任契約」の相談があった。