行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

込み入った相続手続きの事例です。

  事務所に出て最初に手掛けたのは、被後見人最終後見事務報告書と報酬付与事情説明書の3度目の修正を求められた書類作成だった。特殊な、相続形態で、金額も多く多岐に亘る成年後見人としての作業が間断なく続いた事案だった。
 受任した時には、被後見人に多額の相続が発生していて、被後見人の代理人として遺産分割協議書に署名捺印を行った。実は、その前に、余りに多い遺産相続額に残された子供へ最初から配偶者として受け取る相続財産の半分程度の遺産を優先的に配分するようにしたいと、家庭裁判所の許可を申し出た。
 高齢の上に、30年以上も病室で生活していて何度も危篤の状態にあっていつ何が起こってもおかしくないと医師から言われていた。
 その状態であれば、そんな世間的に見ても余りに多い相続額に、成年後見人として熟慮した挙句の上申だった。しかし、本人の利益を守るべき後見人の業務としては相応しくないと許可されなかった。そうして、成年後見人に就任して数か月後、今度は被後見人が被相続人となった。
 その時には、被後見人の配偶者からの財産を移転する相続手続きをお子さんが行っている最中だった。つまり、当然、成年後見人が保管すべき被後見人の通帳などをお子さんが預かって相続財産の振り替えなどの手続きを行っていた。
 多額であるが故の、26回に亘る入金手続きを繰り返して、多くの不動産登記変更手続きの行為を居住地の東京で行っていた。加えて、そのお子さんは大学病院のDoctor兼大学教授という職に就いていた。その手続きが終わる前に、今度は被相続人になってしまった。
 筆舌に尽くしがたい、苦労をお掛けした。そうして、やっと終わった段階で私がその経過を示す書類や写しをメールで頂いて定型様式に纏めて家庭裁判所へ提出したのだ。
 8時に、愛知県安城市の農地売却先予定の農業委員から電話があった。私が、相続手続き依頼を受けた方から、その相続物件の農地登記と売却の依頼を受けていた。登記は連携する司法書士に依頼した。
 売却先は、相手側から買いたいとの意向を頂いて苦労は無かったが、測量図がない事で状況は一変した。その測量には土地家屋調査士の出番で司法書士の言葉を借りれば100万円前後かかると言う。当然、依頼者は直ぐには受け入れない。自分で売却先を探すことを言って来た。
 その変心を相手に伝えていないので、相手方は支払いや購入者を自分の子供にしたいなどの打ち合わせの電話を掛けてくる。私は、購入者へ依頼者の変心を伝えらえられない立場なので、思い余って、相続依頼者に諫言する。
 『方向を変えた事を告げないと、相手は無駄な時間を過ごすことになります。自分の気持ちを伝えるべきです。』
 納得した、相続依頼者から連絡が来る。
 幾つか、購入者捜しをしたようだが、上手く行かなかった。
 『やっぱり、佐藤さんにすべてお願いしたい。』



 と。