行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

 成年後見人として、最終結論に悩む。

 被後見人親族から、後見人の医療等について相談の電話があった。相談というより、結論を持って成年後見人に承認して貰って、負担を含めて同意を求めて来た。
 被後見人は、私が受任した時から悪性腫瘍に侵されて、生死を彷徨う手術を終えていた。軽度な医療措置も認められる有料老人ホームに入所した。その被後見人の定期検診に同行した親族は、医師からの再発を聞き当方に告げて来た。
 血肉を分けた親族であるが故に、例え高齢であっても生を繋げて行きたい、と言う思いは痛いほど分かる。
 しかし、成年後見人が同意しなければ、被後見人の財産に手を付けるわけには行かないのが、この成年後見人制度だ。
 私は、成年後見人として躊躇する理由がある。その親族が提案して来た治療は、自由診療の名の下に書籍を著しているドクターに委ねたいというものだった。
 自由診療で悪性腫瘍に投じる金銭は、何百万円も掛かる例がいくらでもある。その、親族が藁をも掴む気持ちで探し当てた先は、そのドクターが出版した書籍に、病院が治療を諦めた悪性腫瘍の患者を引き受けて6000人も完治させた、という代物だった。
 思い出すのは、私の妻が視力が衰えて、見えるものが霞むようになった。地域で有名な眼科医に罹っていて、
 「これ以上悪くならない漢方がある。保険が効かないので月10万円の負担になる。」
と、言われて私の同意を求めて来た。
勿論、了解した。その時は、彼女は失明の恐ろしさに責められていて、欝を発症して部屋から一歩も出てこない生活を半年過ごしていた。
 最後の検診とばかり、世界的に有名な東京の御茶ノ水にある井上眼科の検診を受けた。何事ない、白内障の手術をした後の誰にでも訪れる膜がはる症状で、膜を切り開くレザー治療でたちどころに、前よりよく見れるようになった。
 社員が同じ病気掛かった時に、方々に出かけて勉強させて頂いた。辿り着いたのは、悪性腫瘍の治療は劇的に進化している。そこで、最先端の治療を施す国立病院とか大学附属病院とかを探して、相談する事だ。
 被後見人の掛かっている病院は、日本でも指折りの巨大にして悪性腫瘍に特化した有名な病院で、その主治医を差し置いて自由診療などという代物に被後見人を任せて良いとは思わない。
 しかしながら、親族の気持ちは痛い程分かる。如何にして、穏やかに良い方向に向かえるか。
 明日、主治医の話しを聞きに行く事にした。
 成年後見人は、ご本人の権利を代理している。しかし、医療や延命などという分野の選択権は持ち合わせていない。
 被後見人の意思確認を如何に行って、医師の判断をどう取り込むか。最終的に家庭裁判所へ上申をするが、成年後見人の判断で、と言われる事を想定して悩む。
※画像を無断で拝借しました