行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

 独居認知症患者の手詰まりな事例

  認知症者の相談や連絡が相次ぐ。今日も数件あった。そのうちの1ケース。
 先日、急な幻覚症状の発症でケアマネジャーと訪問し、言葉遣いや顔つきの余りの変貌にどう対応して良いか困惑した高齢者に対する、現時点での情報共有を行った。総合病院に緊急搬送され入院し、熱中症は癒えたが幻覚症状の現出は変わらない。精神病院のへの転院を押し進める様な、総合病院地域連携室担当者の判断で、その方向で進めている、との事。
 判断の大きな裏付けは、支払いが出来るかどうか、だ。現時点では、誰も身元引受人や保証人がいない。預貯金があるのは分かって居るが、勝手に誰も手を出せない。私の契約は、正常な意識の許での代理人、認知症になった時の任意後見人だが、それぞれの手続きが必要となり、手詰まり状態。
 ケアマネジャーとしては、一般の施設への入所を希望している。問題は、私だ。事務委任・任意後見契約を交わしている。正常な精神状態で、身体的に障害が発生した場合に事務関係の代行を本人の指示に基づいて実行する事になっていたが、既に、精神に障害が発症していて、正常な精神状態とは言い難い。
 それでは、継続してサポートするとの任意後見契約の発動はどうだ。今の時点では有効なのだが、家庭裁判所に任意後見の発動を申立する際に、後見監督人の選任申立なのだが書類が揃わない。
 例えば、財産関係を示す通帳などのありかを確認するのに、勝手に家に入って探す訳にも行かない。戸籍謄本や住民票は職権で取得は出来るが、認知症を示す医師の診断書取得。
 それらの関係書類を揃えるだけでも、数ヶ月掛かる。その間の賃貸住宅の家賃支払い。入所している配偶者の施設経費の支払いなど、多くの手続きが出来ない。それこそ、電気や水道などの解約も勝手に出来ない。
 独居老人や認知症患者を抱えた配偶者や身寄りの無い老人などの、放置された手続きや日常生活の関わりを代行が出来ないのだ。誰も何も出来ずに、命を守る使命は行われる。
 もう一人の認知症の方の相談というか、情報の提供があった。その後の手続き協議を行う予定になった。医療機関から相談のあった認知症患者の成年後見審判申立に、認知症ご本人の面談を行った。
 500㌔も先の遠方から兄弟である親族が来て、打ち合わせを行ったが、ご本人が全く受け入れず、暴言や強力な拒否反応を示して取り付く島もない。誰もが近づけず、しかし、元気で身体的にはどこも悪くない。なので、ケアもなくて一人で生活している。
 ただ、通帳を四六時中紛失して、段々と日常生活が送れなくなって来ている。ただ、自分なりには問題なく生活していると思っている。
 問題は、食事の関係だ。近隣の店で食い逃げや万引きを平気でする様になった。自分では。悪い事とは思っていない。ケアマネジャーが後始末していたが、限界がありいよいよ、それも難しくなった。
 銀行では、ケアマネジャーが代行して事務処理を行うのであれば、と通帳の再発行にこれまで、何度となく行って来た。本来なら万引きなどは犯罪なのだが、認知であれば罪に問う事が難しい。銀行もケアマネジャーと一緒に本人が来てくれるのなら、本人意思を確認して銀行の登録印鑑の変更にも応じて、手続きを取った。
 認知症なりに本人の了解を貰って、預金の一部を下ろして犯罪にならない様に尻拭い続けているが、悲鳴をケアマネジャーが私に上げて来た。
 今のうちに成年後見審判申立したいとの思いが一致して、申立人として再度親族にお願いする事にした。