行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

亡くなった成年被後見人家族から

  半年前に亡くなった成年被後見人の弟さんから、唐突に電話があった。あの時を思い出した。昨年の初春の頃だったと思う。成年後見人の依頼を受けた。確認すると、自分で成年後見審判申立書を作成と言っていた。パソコンを独学で学んで、殆どの操作はお手のものだった。

 神戸にお住まいの方で、年齢は80歳を超えていた。そのお兄さんが、末期癌になって声を失って医療対応可能な高齢者住宅に転居する時だった。何度も、守口市駅前の事務所にて会って、沢山のお話しを伺った。

 兄弟が多くて8人だと言っていた。抗がん剤投与の副作用が出て、お兄さんは認知機能を失っていた。そのお兄さんが、長男で下の弟や妹を学校に通わせる為に丁稚奉公に出たと言う。その後、独立して大いに繁盛したとの事だった。

 高齢者になって、店を畳んで余生を送った矢先の病気だった。学業に行けなくても独学で経済や投資を実践して相当な財産を持つに至った。私が、成年後見人に就任して困ったのは、有料株式を40以上を所有していて、配当だけで余裕の人生だった。

 預金口座も沢山あって、管理が大変だった。しかし、それを使う間もなく病魔に襲われた。何とか、家長のお兄さんに代わって亡くなった弟や妹の配偶者の生活迄気配りをしている姿に感動していた。

 例えば、亡くなった弟の奥さんが生活に困窮しているので、お兄さんが住んでいたマンションを安価で住めるようにして欲しい、と何度もお兄さんの財産を管理している後見人の私に相談が続いていた。

 意見が分かれたのは、お兄さんへの治療方針だった。がん治療で最先端を行っている巨大な医療機関に通っていたが、当然だが何としても生命の糸を切らせたく無い弟さんは、色々な書物を読んで、「癌が消えた」などと謳っていた本を読んで、そこの著者が運営しているクリニックに通わせたいと進言して来た。

 家族ではあるし、悩んだ挙句主治医の意見を聞くことにした。大病院で大阪府の北摂地域の7割はこの病院の診察券を持っていると言われていた。私は、謳い文句が単純に事実だとすれば、クリニックなどと小さな病院であるわけが無いし、ノーベル医学賞を受賞してもおかしくは無いと、分かり易くお話しした。

 結論を委ねた主治医の意見は、納得できることをしてみたら、とある意味突き放したような言い方だった。頭の良い弟さんと話をしても納納得しないだろうと判断したのだろうか。

 通院するのに、往復だが1回2万円の介護タクシーでの週2回の通院だった。薬石効無く数ヶ月後に旅立った。商店街を歩くのが趣味だったと言う。全国の商店街を巡り始めたばかりだった。偶然にも、私も同じ趣味でお陰様にて機会を得て全国巡っている。

 弟さんは、一族の総領として元気で過ごしていた。ただ、大変なのは奥様が気管カニューレを装着して寝たきりの看病をされていた。

 その方からの電話だったので、驚いた。もう、成年後見人の任が終わって半年も経過している。何か問題でも発生したのか、少し心配になって、どうかしたから気になって聞いて。何もないと言う。それでも、尚も聞いた。

 「ご用件は、何でしょうか?何か有りましたか?」

 「いえ、別に無いですがお礼をしたくて。そんなに時間は取りません。5分で終わります。」

 と、言われた。

 よく面談した駅前事務所に来ると言う。わざわざ神戸から年齢をおして来るのも大変だろうと、私から神戸に訪問すると言ったが、大丈夫だと言うことで受け入れた。

 数時間の間を置いて、電話があった。私の言葉を受けて、待ち合わせ場所を変更して来た。神戸からの阪急電鉄の近くの駅になった。

 いつものように、出勤して早速、委任事務のチェック仕事に取り掛かった。その一環として、昨年5月からの金銭管理の入出金記録と溜まっていた請求書や領収書、レシートなどの裏付け資料と付け合わせした。

 兎に角、先週くらいまでは仕事に追われて金銭の支払いするのに精一杯で、他の方も含めてチェックしていない。この方の場合、通帳が無い。病院から引き継いだ時には、封筒に入った現金とキャッシュカードだけでメモも何もない状態から始まった。

 最初に銀行で残高を確認した。その時に預かったキャッシュカードは使えるのか、と思った汚く汚れていてボロボロだった。それでも、枚あって使え残高は、殆ど無いものや借越しなのか、マイナス表示と何十円程度だった。

 兎に角、支払いに追われて、支払ったら後が無いので請求書や督促があっても応じれなかった。個人的に負債の清算を頼んだようで、司法書士から連絡をくれと通知が来た。私が、通知を見た時には司法書士が返事を指定した期限を過ぎていた。電話をしてどこから幾ら借りていたのか情報を得ようと思って電話したが、けんもほろろだった。

 勤務中に脳血管障害で倒れたので、私が引きつだ時には会社から人事担当者から社員が来て給与を手渡し、私が病院まで行って同席してその場で預かった。その支給明細と出納帳データと付け合わせした。

 違っている項目や二重計上があって、金額が動いた。マイナスになったが、私が一時立て替えた所で終わった。しかし、今月に入って請求していた健康保険組合からの、高額医療請求と傷病手当請求に対する入金がまとめて入ったので、大きくプラスになった。

 しかし、先日、施設への住民票異動手続きを取った処、そこにクレジット会社からの督促状と訴訟通知が来たとの情報があって、その金額を聞いて万事休すになった。

 来週打ち合わせがある。早く、手を離したい。