行政書士から拡張業務へ

基本資格行政書士を活用して代書屋からの展開

 知的障碍者への自立支援

 障がい者総合支援法に基づく、各地域にある障がい者自立センターから施設入所者や通所者の自立支援依頼が来る。入所施設を出るとか自宅から出るとか、そんな希望を持っている方が沢山いる。その支援を自立センターが行っている。
 最初に必要なのは、住まいである。その住まいを借りるのに、障がい者は非常に高いハードルがある。障がい者と言うだけで、近隣とのトラブルや家賃の支払いの履行、集合住宅のゴミ捨てなどのルールの理解、など、どのように対応していいか分からない不動産仲介業者や大家さんが少なくない。
 また、親であっても、保証人や緊急連絡先になることを拒む親もいる。
 その結果、窓口での相談をした最初から受け入れられないと、いうことになる。そのハードルを取り除いて、出来るだけ本人の希望を受け入れられるように、つまり、他の人たちと同じ条件でクリアできるように支援するのが私の仕事だ。
 市の障がい者自立センター相談員から、居住確保支援依頼があり、センターを訪問して本人と直接面談をした。礼儀正しく、言葉遣いも丁寧で立派な成年だった。親の育て方を見る思いがあり、何とか希望を叶えてあげたいと思った。
 希望を聞くと、私どもの影響が及ぶ地域から離れていたのだが、就労しているのでその職場に通勤するのに便利な沿線だと気付いて、その地域の不動産仲介業者を検索しながら複数の大手不動産仲介業者に依頼することにした。
 待ち合わせ場所をメールで送って、二日間合計6か所を同行して巡ることにした。それまで、何度も自宅へ物件の画像を印刷して、最寄り駅などを見てピックアップして貰ったのが6か所だった。
 いざ、彼の待っている不動産仲介業者店舗近くの駅に向かった。待ち合わせ時間迄15分あるので十分だと思って、駅近くの駐車場に入庫する。
  完全の大雨大嵐で、傘など意味がない。ずぶ濡れになって駅に到着したが、待ち合わせ改札口1番でだったので、分かっていて6番からコンコースを歩いて1番にいけばいいと、階段を登って到達したが、見ると改札口を入らないと1番出口には行けない。
 既に、待ち合わせに彼は1番出口に到着して待っていると、電話が掛かって来ていた。待ち合わせ時間2時40分は遥かに過ぎていた。本当に申し訳ない。
 風雨は一段と激しく、路面の水溜りは半端じゃない。靴はびしょびしょ、衣服も気にしていられないくらい濡れていて、傘など刺しても意味がない。
 この日は、3ケースの物件内覧だった。最初の物件は新幹線の駅から5分程度の場所にあった細長いマンションの8階だった。家賃込み込み5万円だった。彼の家賃限度額が5万円で、それがいいと思ったが、ショップの彼女が薦める日当たり良好の部屋は2000円オーバーしている。
 そんな日を二日過ごして、絞り込んだ部屋を後日、ご両親と一緒に見に行って一つに決めた。賃貸契約を親同伴でサインして、いよいよ入居だ。
 彼は、人間的にいい奴で何かあったら何とかしてあげたい思いが募る。しかし、余りにいい人間過ぎて、これから大人の荒波にもまれて必要のないトラブルに巻き込まれやしないか、気に成っている。
 既に、転居している。親は、心配ではないのか。被害に遭った障がい者を身近に見て来ている私は、第三者だが心配が先に立ってしまう。より良い、独居生活が送れるように願う。