仏の顔なんて必要無い
その言葉を聞いた瞬間、自分は、本当にダメな男だと思った。
「今月分は、何とか待ってほしい。払えない。」
その男が、慣れっこのように放った。
あの議員絡みの、家賃踏み倒しで行方をくらませた男が議員を頼って、鍵を替えられてしまった部屋に入れず何とかして欲しい、と。議員は、早速、私の方へ連絡して来た。指定居住支援法人として職務を全うすべく、知人の困難案件を受け取ってくれる不動産仲介業者へ検索依頼。
物件はあったが、家賃踏み倒し実績は致命傷で家賃保証会社の審査は通らず、私が無償で見ず知らずの男に連帯保証人となったが、あえなく撃沈する。最後の手段として、私が賃借人となって奴が住人として申請して、やっと審査通過した。
ただし、初期費用88500円を払ってから入居出来るとの事でも賃借人として振り込んだ。続いて、前家賃の支払いを求められたので、家賃は本人に支払わなければずっと私が払い続けて、この男が今回のようにトンズラする恐れがあるので、今月分は払わせた。
そうして、来月分の支払いを今月末迄支払う様に夕方5時に訪問して求めた。そうすると、冒頭の言葉があったので、やっぱりこんな人間に情を掛けてしまって対応するものでは無いと、自分の柔い心情を後悔した。
物件のマッチングまでは職務だが、保証人になったり自分が借主になって住まわせたりするのは自分勝手だ。いわゆる、自己責任なのだ。家賃が払えなければ、どうして居住を確保するのか、一時避難の居住場所を確保している行政もある。シェルターだ。それは、行政の範疇で当方はここまでなのだがどうしても義侠心が出てしまう。
以前も、地域包括支援センターなどが頼って来た債務超過者への支援に義侠心を出してしまった。面談受け取ってして、家賃を始め医療費、電気ガス水道などのライフラインなどあらゆる支払いを何年もしていなかった。ライフラインなどは普通であれば、一定の期間未払いであれば止められる。しかし、病で寝たきりの旦那さんを前面に出して奥さんが、
「旦那を殺す気か!」
と、騒ぐので問題化する恐れがあるので、我慢してスゴスゴト帰る。
その家計支援を依頼されて、受けてしまった。有り余る義侠心である。私が取った最初の手段は一気に負債を清算した。その額100万円余りだ。不動産屋さん、医療機関、介護事業所など巡って自己資金から支払って行った。
返済は、旦那さんの年金が一般の方よりも高額だったので、私の試算だと月5万円の返済は可能だった。その振り込まれる預金通帳とカードを預かって契約を交わした。
それが、一月も経たないのに、旦那さんが亡くなってしまった。万事休すだ。遺族年金を受領して行くので、継続を懇願されたがこの奥さんとの連携に不安を感じて、立替金を頂かない事で、契約を解除した。100万円余りのマイナスだった。
最近では、個人事業主が収入減で従業員の給与が払えず自己破産しか道は無い!との苦境を知って40万円程、ある時払いの催促なしの提供をした。資金作りが悉く断られて、最悪のケースを回避して欲しかった。この月を潜り抜ければ何とかなるとの事だったので、義侠心を出してしまった。
そんな過去の延長で、大目に見ても良かったのだが、最初から払う気が無いのがありありだったので、その安易な言葉を咎めた。強く叱責した。そうすると、何か言いたそうな目つきをして睨み返す。議員の名を出して、信頼を失うぞ、と言うと素直に、そうですねと言って下を向く。管理会社に相談して、対処する事にした。
朝は早くから、課題の主催する2月のセミナーのパンフレットや申込書、それに付け加えるQRコードの作成などについて、長男に作業の一部をお願いした。特にQRコードの作成は私には出来ない技なので、7時台の早朝ではあったが、いつも直ぐに応じてくれるのでメールでお願いした。始業時間になると共催の市役所との詰めの作業が待っているので、祈る積りで待っていた。
返事が来るまでの間、遅れている源泉徴収票の配布準備をしていた。セミナーの講師をお願いしている新潟の一般社団法人代表理事にも、パンフレットや次第などの情報を送って意見を求めた。直ぐに、講師からは異議はないとの返事だった。しかし、息子からは一向に返事がない。10時には出発する必要があって、焦っていた。
そうすると、電話が入った。名乗らずに、突然用件から入った。直ぐに誰か分かった。事務委任契約や入院の保証人契約を交わした入院中の93歳お婆さんの自宅隣の方からだった。郵便物が大量にポストに詰まっているので取り出したから受け取りに来て欲しい、との事だった。外出するので、一番に寄ることにした。
息子から何の連絡もないので、東京に居る長男に電話した。寝ぼけている様だったが、依頼した内容は把握していた。息子も都合が有るだろうと思ったが、再度依頼して10時には出発するので、それまでに作ってくれる様に依頼した。
市役所から催促の電話が来た。息子から依頼した作業の結果が来た。それを活用して、作成した原案を市役所に送って、外出する事を伝えた。外出迄の30分を利用して、私が借り受ける物件の説明を不動産屋さんから受ける。
三輪さんから迎えに来たとの連絡があって、出発する。朝電話があった、入院中の方の隣人で美容院の方へ立ち寄って郵便物を受け取って、直ぐに銀行へ向かう。途中、市役所担当者から電話が入って、原案に手を加えたので見て欲しいです、と連絡があった。遅くなるが、戻ったら見ると返事する。
銀行へ立ち寄って大量に非正規の振り込みを行った。三輪さんが調べてくれた昼食のお店に向かう。私が診察を受ける関西電力病院の近くで、車で1時間程度だ。一旦、関西電力病院に停めて、徒歩で10分位のお店に向かう。
老舗然とした店の鰻屋さんだった。入店してみると、少し印象が違ったんだ老舗というより、古い建物という感じだった。値段は老舗並みだった。気になったのは、主人が咳き込んでいた。ひっきりなしに、マスクもせずに咳き込む。不衛生だ。こんなにインフルエンザが蔓延して、新型コロナとダブル感染症が猛威を震っている。
江戸前と謳っている割には、イマイチだった。時間もないので、急いで病院へ戻った。直ぐに名前を呼ばれて、脳神経内科の診察室に入る。主治医に新年の挨拶をし、USBで持参したデータを見て貰って、問診を受けて終わった。
事務所に戻って市役所とやり取りして修正など長男に依頼して、5時約束の議員から依頼された入居支援者宅へ向かって、今日の業務は終わった。


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